旅の歌 5
大伯皇女の、この弟を思うひたむきな思いを知った持統天皇は、この姉宮さえ亡きものにしたい、と思ったかもしれません
二上山は見る限りにおいては、やさしい山相であるけれども、事実この山へのぼるには思ったより瞼岨なみちであることを覚悟しなければなりません。
アルカイト原石という、ごろごろみちがあり、雌岳から雄岳にむかう急坂は、息の喘ぐような岩場です。
ここを、大伯皇女は、弟のたまふりのために、しげしげと墓へかよったとも言われています。
死を前提とした旅が、大伯皇女に課されたことを思うと、大伯皇女も、この山の上でともに死を思うことが
あったかもしれません
事実、この山から、かつての浄御原であった位置を見おろしていると、たましいが鎮まる前に、嘆きのこえを発したくなるような孤独感が湧出してきそうな山でした。
大和へ帰還の旅も、喪ったものへのさびしさに浸された旅も、大伯皇女にとっては切実な運命を思わずにはいられない旅だったのです。
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