ニつの博覧会とその前後 3
どの機械をとっても文明がもたらした輝かしい進歩を誇示するものであり、人びとはアメリカの将来に国民的自負と期待を抱いたにちがいありません。
しかし、同時に巨大なコークス・エンジンが人びとに「機械には抵抗できない」という畏怖心と無力感を与えたことも否定できません。
『進歩と貧困』という本を書いた当時の評論家ヘンリー・ジョージはそのなかで、機械は進歩のシンボルですが、また同時に人から職を奪ったり、人間をこれに従属させるものであるというアメリカ企業文明の二面性とそのパラドックスを鋭く指摘しました。
・・・しかし、人びとは高圧的な機械に抵抗しなかったわけではありません。
当時最先端の機械であった鉄道は、労働者が敵対視する最も大きな目標となりました。
フィラデルフィア博の翌年、1877年にはボルティモア・オハイオ鉄道のマーティンスバーグ駅(ウェストバージニア州)で、経営者の要求する10%の賃下げに対し、鉄道労働者がストに突入しました。
これに同情した大衆もストに加わり、騒ぎが大きくなったので、州兵が動員され、死傷者も出る始末となりました。
この争議は枯野に火をつけるようにアメリカ各地に燃え拡がりました。