完全ミイラの話
1972年4月のこと、中国で長沙市郊外の馬王堆古墳が発掘され、まるで生けるがごとき女性の遺体が発見されました。
古墳は、後漢時代といいますからAD1世紀前後、2000年前のものでした。
女性は年齢50歳前後の貴婦人で、密封された三重の棺の中におさめられ、赤い液体の中に浸っていました。
液体がなんだったかくわしい発表がなかったのですが、水銀を含んでいたとかで、女性の体は指で押すと弾力性があり、胃の内容物まではっきり検証できたといいます。
・・・つまり遺体は、完全な缶詰の状態であったらしく、アルコール漬と同じような保存状態でみごと2000年の星霜を経たわけです。
もっとも私は、このニュースを聞いた時、
「いや、待てよ、日本でもこんなに古いものじゃないけど、同じような例がいくつかあるぞ」
・・・と思ったものです。
日本のミイラといえば、すぐ頭に浮ぶのは、岩手県平泉、中尊寺に残る藤原三代のミイラが有名ですが、(これはいわば人間の干物のようなものですが)もっと完全な遺体が見つかったことがあるのです。
第ニ次大戦前のことです。